Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『宰相A』と『1984年』と安倍政権

 「現在わが国は、曇りも不安もない最強の同盟関係にあるアメリカとともに、世界に絶対的平和をもたらすための地球規模の、平和的戦争を行っている只中にあります」――聞き覚えのあるフレーズです。そう、まるで日本の首相の絶叫演説のよう。


 実はこの言葉は、今年2月に新潮社から出版された『宰相A』の中に出てくる宰相Aの演説です。作者である芥川賞作家の田中慎弥さんがどういう意図でこの作品を執筆したかは知る由もありませんが、出てくる宰相Aの言葉は今の日本の総理大臣にそっくり、そういえばイニシャルも同じです。


 この本を読むとジョージ・オーウェルの名作『1984年』を思い出します。「戦争は平和なり」「自由は隷従なり」「無知は力なり」をスローガンとするビッグ・ブラザー率いる党が支配する世界、あらゆるところに監視のテレスクリーンの目が光り、平和省が世界的な戦争を遂行するさまは、盗聴の範囲を広げ、戦争法案を平和と読み替える今の日本の政権に酷似しています。


 『1984年』の主人公は報道、娯楽、教育、芸術を所管する”真理省”で、党にとって都合の悪い過去の情報を書き換える仕事に従事しています。そして、党のもう一つのスローガンが、「“過去をコントロールするものは未来をコントロールし、現在をコントロールするものは過去をコントロールする”」です。「侵略の定義は定まっていない」とし、都合の良いように歴史を塗り替えようとする日本の総理大臣とこれまたそっくりです。


 二つの小説は、いずれもフィクションですが、いまの日本の政権を見るようです。特にオーウェルの『1984年』は1949年に出版されており、現在の日本の姿に着想を得たわけでもありません。それでも似てしまう、二つの小説とも独裁を描いていますが、そういえばチャップリンの映画『独裁者』に出てくるヒトラーのカリカチュアであるヒンケルも風船の地球儀をこよなく愛していました。地球儀を俯瞰するのが大好きなところと似ています。


 安倍政権の暴走が止まらない、ロジックもなければ、立法事実もない中で、ただ、ただ、情念に駆り立てられてられる姿は異常です。首相自身も「国民の理解は進んでいない」と特別委員会で認めているにもかかわらず、強行採決を行う――常軌を逸しています。


 先の二つの小説はあくまでフィクションですが、現実はそのフィクションを乗り越えようとしています。「積極的平和主義」が成就すれば「地球規模の平和的戦争」までは電車道。食い止めるのは今しかありません。



スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。