昨日の衆議院本会議で、会社法と関連法の改正案の採決が行われました。このなかで親会社が子会社の株式売却を行う際、株主総会の議決を必要とする内容が含まれていました。このこと自体に問題はないのですが、委員会段階での審議で、水俣病の原因企業であり、加害企業であるチッソだけは例外にする修正がされてしまいました。
現在、チッソは子会社にすべての事業を移管しています。チッソ自体は事実上の持ち株会社になっています。ですから、子会社株を売却すれば、チッソは清算され消滅してしまいます。水俣病被害者救済のための特措法では、被害者に対する補償が終息し、株式市況が好転した場合にのみ、チッソの子会社株売却を環境大臣が承認できる仕組みになっています。今回、会社法と関連法の改正で、子会社株売却のルールについてチッソだけを例外にしたのは、チッソの子会社株売却、すなわち加害企業チッソの清算については、その条件を緩めておこうという意図があることは明らかです。社民党はとても賛成できず、反対しました。
過日、4月17日の決算行政監視委員会で、私は石原環境大臣に対し、水俣病の現状について質問しました。石原大臣は、「水俣病は今でも収束していない」「子会社株の売却を認める状況にない」と答弁しました。当然です。いまでも、水俣病認定の訴訟が続いています。特措法の救済申請を却下された方々の大規模な裁判も起きています。何よりも、多くの方々が被害に苦しんでいます。このような中で、原因企業であるチッソに子会社株を売却させ、原因企業であるチッソを消滅させていいわけがありません。
国、そして国会がすべきは、チッソの清算を手助けすることではなく、被害者に誠意ある対応をし、すべての被害者に補償して、水俣病の全容を解明することなのではないでしょうか。
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