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「ある数学者の弁明」

「純粋数学者をほっとさせる一つの心強い結論がある。純粋数学は、戦争に全く影響を及ぼさない」とその著書『ある数学者の弁明』で述べたのはイギリスが生んだ天才数学者G.H.ハーディです。ここでいう純粋数学とは素数などを扱う数論などであり、弾道計算などに使われる“日常数学”ではないとハーディは断りを入れています。

ところが時代はハーディが考えていたよりもはるかに進んでしまいました。現在使われている暗号はその多くを純粋数学、わけても素数に頼っています。サイモン・シンはベストセラーとなった『暗号解読』で数学と戦争との関係の変化をこう述べています。「第1次世界大戦は化学者の戦争であり、第2次世界大戦は物理学者の戦争・・・第3次世界大戦が起こるとすれば、それは数学者の戦争になるだろう」――第1次大戦において化学兵器が使われ、第2次大戦では原子爆弾が使用された、次の戦争は情報を支配した方が勝利する戦いになる、情報とは暗号であり、その解読だ、その役割を担うのが数学だ――サイモン・シンが言わんとすることです。

ところで、最近、国際的スキャンダルの様相を呈しているのが、米国NSA(国家安全保障局)による盗聴です。同盟国を含めた各国大使館の盗聴に始まり、ドイツのメルケル首相をはじめ主要国のリーダーたちの通話を盗聴していたことも明らかになりました。この問題を暴露したのが元CIA、NSA職員であるスノーデン氏。スノーデン氏の勇気ある告発で米国の卑劣なスパイ行為が明らかになり、盗聴を受けた国々は不快感と米国に対する不信を露わにしています。

日本大使館も盗聴の対象となっていましたが、この件について菅官房長官は米国内の問題としたうえで「日米間の外交においては、しっかりと秘密は守られるべきだ」とコメントしています。驚くのは、盗聴行為そのものを批判することなく、盗聴の事実が露見したことの方を問題にしていることです。
特定秘密保護法案が成立すれば、政府が市民を盗聴・監視してもその行為自体を特定秘密として隠ぺいしてしまうことも可能です。事実、米国政府は秘密漏えいのかどでスノーデン氏逮捕に全力を挙げています。

ハーディを慰めた「心強い結論」は今、ビッグブラザーの支配する世界の重要なツールに変貌しようとしています。
 




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